2.Brains Crack/SPMの理論と実装

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Random Field Theory | 確率場理論,ランダム場理論

SPM においては多重比較補正であるFamily-Wise Error correction のために使われている理論.

ユーザーとして注意しなければいけないのは,この確率場理論からの要請で,空間的なSmoothing で使われるガウシアンフィルターのFWHM(Full Width at Half Maximum)は,計測したvoxel サイズの 2-3 倍程度に設定する必要がある.

一般的な多重比較法としてBonferroni 法などがあるが,Bonferroni 法ではそれぞれの統計値は独立であると仮定している.一方で,脳機能画像 の空間的な連続性により統計値はお互いに独立ではない.脳機能画像の解析にBonferroni 法を適用すると不必要に厳しい統計水準となる.そのため,SPMでは確率場理論(Adler, R. 1981. The geometry of random fields)に基づいた方法が用いられている.

また,この理論によりSPMでは,単にVoxel毎の多重比較検定のほか,一連のVoxel群(Cluster)の広がりや,Cluster の数についての検定も行われる.

  • Voxel level
    ボクセルの多重比較補正後のp値が求める.
    各voxelの統計量が有意に大きいであるかを検証する.
  • Cluster level
    ひとかたまりの有意であるVoxel群(Cluseter)の空間的広がりに関する補正されたp値を求める.つまり,ひとかたまりの有意であるVoxel群(Cluseter) が持つ広がりが偶然に閾値kを超える確率を求める.有意水準より小さければ,そのCluster の広がりは有意であると言える.
  • Set level
    ある統計量とその広がりについて,Cluster の個数に関する補正されたp値を求める.つまり,各voxelの統計量の大きさと広がりの両方が有意である Cluster の数uが偶然に閾値を超える確率を求め(有意水準であるCluster の数 uを求める),得られたClusterの数が,u よりも小さければ全ての Cluster が有意であると言える.得られたClusterの数が,u と同等か大きい時には,得られたClusterのうちいずれかが有意ではない可能性がある.この値が論文で報告されることは,あまりない.

参考資料

  • 関連論文3つ.
    • Friston KJ, Worsley KJ, Frackowiak RSJ, Mazziotta JC, Evans AC. Assessing the significance of focal
      activations using their spatial extent. Hum Brain Mapp 1994; 1:210-220.
    • Friston KJ, Holmes AP, Worsley KJ, Poline JB, Frith CD, Frackowiak RSJ. Statistical parametric maps in
      functional imaging: A general linear approach. Hum Brain Mapp 1995; 2:189-210.
    • Friston KJ, Holmes A, Poline J-B, Price CJ, Frith CD. Detecting activations in PET and fMRI: levels of
      inference and power. Neuroimage 1996; 4: 223-235.

確率場理論による有意水準決定について

(下記,自信なし)

概要

  1. 画像のレゼル(Resel,Resolution Element,画像中にある独立な値の数)を決定する.
  2. レゼル数から画像のEuler Characteristic (EC) の期待値を計算する
  3. EC の期待値から有意水準を決定する.

詳細

  1. 各ボクセルが独立であれば,レゼルの数はボクセル数と一致する.
    SPMでレゼルは,平滑化したFWHMと同じサイズとなる.
    ボクセル数 n, ボクセルサイズ 2x2x2 mm^3,FWHM 8mm とすると,
    レゼル数は n*(2/8)^3 となる.
  2. レゼル数が与えられると,任意の臨界値でECの期待値を推定できる事が知られている(らしい).
    ECは,臨界値(有意となる境の統計量の値,ここでの場合は輝度)における有意な領域(塊,blob)の数である.
  3. 推定されたECの期待値は0を下回らない.閾値が大きいところでは,0から1をとるので,確率の良い近似となる(らしい).
    ECの期待値が有意水準となるように臨界値を決定する.

参考論文
Worsley, K. J. et al. 1992. A three-dimensional statistical analysis for CBF activation studies in human brain.
Journal of cerebral blood flow and metabolism 12 (6):900–918.

補足

多重比較問題のごく一般的な説明

ボクセルが2つある場合,2つの仮説検定を行うことになる.
有意水準を0.05とすると,
1つの帰無仮説が採択される場合の確率は,0.95 である.
2つの帰無仮説が採択される場合の確率は,0.95x0.95 = 0.9025 である.
よって,2つの帰無仮説のうち,1つもしくは2つが棄却される確率は,1 - 0.9025 = 0.0975 である.
有意水準をαと設定したものの,仮説検定を n 回繰り返すことにより,全体では有意水準が 1-(1-α)^n > α
となってしまう.

cf. http://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/kid/clinicaljournalclub1.html

Family-wise false positive rate(FWE)の代表的方法であるBonferroni 法による補正

false positive rate (第1種の過誤) を制御して検定する方法.
何回検定を繰り返しても,全体でのfalse positive rate (第1種の過誤) が有意水準となるように設定する補正.
P=n・p, ただし, n, 検定回数; p, 補正前のp値
非常に保守的な(帰無仮説が棄却されにくい)方法である.

False discovery rate(FDR)の代表的方法であるBenjamini & Hochberg法(BH法)による補正

FDR(棄却された帰無仮説のうち帰無仮説が正しいものの割合,第2種の過誤)を制御して検定する方法.
q = v/R
v, 帰無仮説が正しいが棄却された場合;
R 帰無仮説を棄却した場合(v + 帰無仮説は間違いでその通り,棄却した場合)
例えば,q = 0.5 とは,棄却した帰無仮説のうち,帰無仮説が正しい場合が半分含まれている可能性を意味する.

Benjamini Y. Hochberg Y. Controling the false discovery rate: a pratical and powerful approach to multiple testing. J. R. Statist. Soc. ser.B, 57(1): 298-300 (1995)

【fMRI model specification】Design Matrix の作成 [SPM8 v4010]

cf. 一般線型モデル

Design matrix は直交化されているが,正規化されていない.

  • Q. 直交化は実験計画(法)で行うべきことではないの?(実際には,実験計画で直交になるように設計してあれば,回帰子を直交化してもしなくても,かわらないはず!?).
  • Q. SPMで無理矢理,直交化した回帰子は物理的に何を意味するのか?
  • Q. 【Regressors】【Multiple regressors】を用いた時には,正規化もしないとまずいのでは?
    • 【Regressors】【Multiple regressors】を使わなければ,全ての回帰子は,【onset】で指定される系列(onset のタイミングで 1,それ以外で 0 となる系列)にHRFをたたみ込んだ回帰子なので,問題はなさそうだが.

  • spm_fMRI_design.m が何を計算しているか.
    • l.267, 【condition】 で設定した 【onset】の系列を HRF で畳み込み積分
    • l.272, 計測パラメータ(スライス数)に併せて,回帰子をResampling
    • l.278, Gram-Schmidtの直交化をしている.正規化はしていない. cf. spm_orth.m
    • l.319, 【Regressors】【Multiple regressors】 で指定した系列と併せて,変数Xに格納される.
    • ll.349-350, 複数セッションなどを考慮して,Xを整形.
    • l.357, SPM.xX.X に格納.

【Parametric Modulations】

  • 「調べたい」パラメトリックな変量を回帰子にしたい時には【Condition】-【Parametric Modulations】を用いる仕様になっている.
  • 【Parametric Modulations】を指定した場合でも,Design Matrixには必ず 【onset】で指定した系列 も含まれる.
  • 【Parametric Modulations】で指定した系列 は【onset】で指定した系列と直交化される.しかし,正規化していない!?
  • Q. これも,SPMで無理矢理,直交化した回帰子は物理的に何を意味するのか?

  • spm_fMRI_design.m
    • l.263, 【Parametric Modulations】で指定した系列 は【onset】で指定した系列と直交化する.cf. spm_get_onse.m, l.228

【Regressors】【Multiple regressors】で 入力した系列は,HRFで畳見込み積分をせずに, Design Matrix に入る.

  • ここはあくまで,アーチファクトの除去として使う仕様である(下記,公式マニュアルの文章).
    Regressors are additional columns included in the design matrix, which may 
    model effects that would not be convolved with the haemodynamic response. 
    One such example would be the estimated movement parameters, which may 
    confound the data.
  • 一般的に,体動(頭動)などの変量を回帰子とする(なので,HRFで畳み込み積分しない,この仕様は妥当).
  • 「調べたい」パラメトリックな変量を回帰子にしようとして,これを使ってはいけない.
    • 「調べたい」パラメトリックな変量を回帰子にしたい時には,cf. Parametric Modulations?
  • アーチファクトであっても,HRFを畳み込み積分した回帰子が妥当な時には,これを使ってはいけない.

最終更新日: 2015-02-02 (月) 23:37:18 (1594d)

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